悪魔なあなたと結婚させてください!
『あ……』

中川が手を握りしめたまま一歩近づいてきて、幸の心臓は今までにないくらいに早鐘を打つ。

自分がこんなシチュエーションに陥ることがあるなんて考えてもいなかった。

これから私はどうすればいいんだろう。
目を閉じてキスを待てばいいんだろうか。

でも、告白の返事だってまだなのに。
グズグズと考えている間にも中川の顔がグッと近づく。

幸は咄嗟に目を閉じていた。
キスされる!

と覚悟を決めて。
だけど……待てど暮らせどキスはこない。

それどころかいつの間にかな中川の手が幸から離れていたのだ。
それに気がついた幸はそっと目を開けた。

同時にブハッと吹き出す声。
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