悪魔なあなたと結婚させてください!
沢山の笑い声に包まれた。

幸の前に立っていたのは中川と、中川にチョコレートを渡していた数人の女性社員たちだったのだ。

みんな幸を見て大きな口を開けて笑っている。
幸を指差して、目に涙を浮かべて、お腹を抱えて笑っている。

その瞬間に幸はどうしてここに中川がいたのかすべてを理解した。

中川は幸を笑い者にするためにわざわざここに来て、そして他の社員たちはみんな隠れてそれを見ていたんだ。

急速にわきあがって来る羞恥と怒りと悲しみに幸はなにも言えなかった。
涙もでなかった。

ただ弾かれたようにしてその場から逃げ出すことしかできなかったのだった。
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