悪魔なあなたと結婚させてください!
幸のそんな気持ちを悟ったかのようにアレクが急に立ち止まって振り向いた。
冷たい視線で射抜かれて幸も同時に立ち止まる。

「お前、会社でイジられてるだろ」
「そ、そんなこと……」

否定しようとしたのに、今日の出来事が思い出されて途中で言葉が消えていく。
「俺は悪魔だ。お前がどこでどうしているかくらい、この目で見える」

アレクは自分の目を指差して言った。
「どういうこと?」

「お前は俺のご主人様だ。願いを叶るためにピンチを救うこともある。そういうときのためにお前の姿をいつでも見れるようになっている」

アレクの目をジッと見つめてみると、その目の奥に自分の姿が見えた。
今の自分ではない。

会社の制服姿の自分だ。
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