奴隷拷問が趣味の公爵令嬢を殺ってしまったので変身魔法で成りすますことにしました
【11】主従関係が逆転しました
あのとき、あたしが発動したのは、対象の魔法一つを術者にお返しする光魔法――【反射】だ。それもただの【反射】ではなくて【反射/永続】を発動した。
【反射】に【永続】を付与することにより、【反射】の効果が一回限りではなくなり、対象を取らずに【反射】することが可能な状態となっていた。
この結果、レミーゼが主で奴隷があたしの構図が一転し、真逆になった。楽しい時間の始まりというわけだ。
まあ、体中が痛すぎて楽しくなんてないんだけどね。
とりあえず、回復魔法を試してみようか……。
「ん? ……ああ、ごめんごめん。苦しそうだからもう口空けていいよ」
「っ、ぷはぁっ、……くっ、いったい何が……? このあたしの身に起きたというの!?」
口を閉じてと言ったら、大人しく従っていたらしい。
興奮しすぎて鼻呼吸が苦しかったのかな。随分と息苦しそうな表情をしていたから、口を開くことを許可してあげた。
「レミーゼ。あんたは今、あたしの奴隷」
「は? ふざけ……」
「あんたが使った【隷属】を【反射】で跳ね返したの。理解できる?」
「【反射】ですって……? あたしの奴隷の分際で、魔法を……? いや、いやいや、そんなことより、このあたしが……奴隷に? ……は? は? はっ? はあっ? ……うそ、嘘よ、嘘だ! そんなの嘘に決まってる!」
信じられないのだろう。
現状を受け入れたくないのは痛いほど分かる。でも、これが現実だ。
「嘘じゃないから。だってあんたさ、あたしが口閉じてって言ったら従ったでしょ」
レミーゼは唖然としている。
この世の終わりを迎えてしまったかのような表情で、その場にへたり込んでしまった。
「こ……公爵令嬢の、このあたしが……奴隷? 罪人の……奴隷ですって? ……は、ははは、それってなんの冗談よ……」
「うーん、冗談じゃないんだけどなぁ……」
事実を言っているだけなのに、全く信用してくれない。
……いや、分かっているけど、現実逃避しているだけかな。現に【隷属】化に抵抗しようとしているし。
「も、もし! あたしに【隷属】がかかってしまったというのなら……! 今すぐ! 今すぐに解除しなさい! これは命令よ!」
「解除しないから。だって自由になったらどうせまた【隷属】であたしを奴隷にするつもりでしょ?」
「はい! っ、違う! その通り! ああもうっ、バカッ! どうして本当のことを口にしてしまうのよ!」
「それが【隷属】だからね……。全く、怖い魔法だよ」
一度でも……たった一度でも闇魔法【隷属】の支配下に置かれてしまえば、己の身を以て、その怖さを体験することができる。
あたしはもちろんのこと、レミーゼにとっても、【隷属】化したのは今回が初めてだったのだろう。
もっとも、【ラビリンス】において公爵令嬢のレミーゼが【隷属】をかけられる場面など存在しないし、レミーゼ自身も想像したことがないはずだから、当然といえば当然か。
「というわけでさ、そろそろあたしの質問にも答えてもらうから。……いいね?」
「はい! もちろんです! っ、じゃない! クソッ! なんであたしがあんたの質問に答えなくちゃいけないのよ……ッ!!」
レミーゼの意志は関係ない。
主従関係にある今、レミーゼは主たるあたしの命令に従ってしまう。
正直言って、この状況はあまり良い気分とは言い難い。
ある程度のところまで聞きたいことを聞いたら、レミーゼにかけられた【隷属】を解こうと思っている。もちろんそのあとは捕まらないように逃げるつもりだけど。
「えーっと、それじゃあまずは……貴女のことを教えて」
あたしが知っている【ラビリンス】のレミーゼと、目の前にいるもう一人のレミーゼ……。
このレミーゼが【ラビリンス】の設定と全く同じか否かを、実際に確かめてみることにした。
【反射】に【永続】を付与することにより、【反射】の効果が一回限りではなくなり、対象を取らずに【反射】することが可能な状態となっていた。
この結果、レミーゼが主で奴隷があたしの構図が一転し、真逆になった。楽しい時間の始まりというわけだ。
まあ、体中が痛すぎて楽しくなんてないんだけどね。
とりあえず、回復魔法を試してみようか……。
「ん? ……ああ、ごめんごめん。苦しそうだからもう口空けていいよ」
「っ、ぷはぁっ、……くっ、いったい何が……? このあたしの身に起きたというの!?」
口を閉じてと言ったら、大人しく従っていたらしい。
興奮しすぎて鼻呼吸が苦しかったのかな。随分と息苦しそうな表情をしていたから、口を開くことを許可してあげた。
「レミーゼ。あんたは今、あたしの奴隷」
「は? ふざけ……」
「あんたが使った【隷属】を【反射】で跳ね返したの。理解できる?」
「【反射】ですって……? あたしの奴隷の分際で、魔法を……? いや、いやいや、そんなことより、このあたしが……奴隷に? ……は? は? はっ? はあっ? ……うそ、嘘よ、嘘だ! そんなの嘘に決まってる!」
信じられないのだろう。
現状を受け入れたくないのは痛いほど分かる。でも、これが現実だ。
「嘘じゃないから。だってあんたさ、あたしが口閉じてって言ったら従ったでしょ」
レミーゼは唖然としている。
この世の終わりを迎えてしまったかのような表情で、その場にへたり込んでしまった。
「こ……公爵令嬢の、このあたしが……奴隷? 罪人の……奴隷ですって? ……は、ははは、それってなんの冗談よ……」
「うーん、冗談じゃないんだけどなぁ……」
事実を言っているだけなのに、全く信用してくれない。
……いや、分かっているけど、現実逃避しているだけかな。現に【隷属】化に抵抗しようとしているし。
「も、もし! あたしに【隷属】がかかってしまったというのなら……! 今すぐ! 今すぐに解除しなさい! これは命令よ!」
「解除しないから。だって自由になったらどうせまた【隷属】であたしを奴隷にするつもりでしょ?」
「はい! っ、違う! その通り! ああもうっ、バカッ! どうして本当のことを口にしてしまうのよ!」
「それが【隷属】だからね……。全く、怖い魔法だよ」
一度でも……たった一度でも闇魔法【隷属】の支配下に置かれてしまえば、己の身を以て、その怖さを体験することができる。
あたしはもちろんのこと、レミーゼにとっても、【隷属】化したのは今回が初めてだったのだろう。
もっとも、【ラビリンス】において公爵令嬢のレミーゼが【隷属】をかけられる場面など存在しないし、レミーゼ自身も想像したことがないはずだから、当然といえば当然か。
「というわけでさ、そろそろあたしの質問にも答えてもらうから。……いいね?」
「はい! もちろんです! っ、じゃない! クソッ! なんであたしがあんたの質問に答えなくちゃいけないのよ……ッ!!」
レミーゼの意志は関係ない。
主従関係にある今、レミーゼは主たるあたしの命令に従ってしまう。
正直言って、この状況はあまり良い気分とは言い難い。
ある程度のところまで聞きたいことを聞いたら、レミーゼにかけられた【隷属】を解こうと思っている。もちろんそのあとは捕まらないように逃げるつもりだけど。
「えーっと、それじゃあまずは……貴女のことを教えて」
あたしが知っている【ラビリンス】のレミーゼと、目の前にいるもう一人のレミーゼ……。
このレミーゼが【ラビリンス】の設定と全く同じか否かを、実際に確かめてみることにした。