奴隷拷問が趣味の公爵令嬢を殺ってしまったので変身魔法で成りすますことにしました
【22】どうやらあたしは死んだみたいです
【ラビリンス】のステータスは、そのプレイヤーがこれまでに獲得した称号を見ることができる。
あたしの場合だと、たとえば年間一位が決まったときにもらった称号のほかに、ネット上で呼ばれていた二つ名がいつの間にか称号として加わっていた。
で、その一覧の中に、見覚えのない称号あった。
それが【転生/罪人】だ。
称号が増えるのは別に悪いことではない。
ほとんどが名誉なことだし、達成感を味わうこともできる。
まあ、称号の中には最低な部類のやつもあったりするんだけど……。
あたしが新たに獲得した称号は【転生/罪人】なんだけど、どういう意味なのだろうか。
「転生と……罪人って、あたしが地下牢に居たから……?」
目が覚めたとき、あたしはトロアになっていた。
トロアは、アンとドゥと一緒にスリをして捕まり、地下牢に入っていた。
「トロアは……罪人?」
【ラビリンス】に三姉妹が存在する場合、恐らくそれは【罪人】と表記されるだろう。
ただ、これはあくまでも予想だ。
あたしは【ラビリンス】で三姉妹を一度も見たことがないし、メインシナリオやサブシナリオにおいても彼女たちが登場することはなかった。
普通に考えるのであれば、ただデータのみが存在するモブキャラ……それが一番表現としては近いのかもしれない。
プレイヤーと、かかわることのないキャラクターでさえも、【ラビリンス】の運営会社が細部まで拘り抜いて作り上げた結果……ということかな。
そしてあたしは、そんなキャラクターの一人として生まれ変わった。
つまり……転生してしまったというわけだ。
っていうか、あたしってやっばり転生してたんだ。
現実ではとっくに死んでるってことか……。
「……心配してるかな」
いざ、死んでしまったことを実感すると、急に親の顔が浮かんでくる。
親子としての会話が多かったわけじゃないけど、自由に生きることを許してくれていたし、あのときだってあたしの身を案じて【ラビリンス】を取り上げたんだよね……。
でもまあ、今更起きてしまったことを変えることはできないし、嘆いていても仕方がない。
現実での未練といえば【ラビリンス】で遊べなくなったことぐらいだし、それはもう【ラビリンス】の世界と全く同じ世界に転生した時点で、未練ではなくなっているわけだから、とにかく今はトロアとして生きる道を考える必要がある。
いや、今はレミーゼとして……かな?
レバスチャンとテイリーの二人は、あたしの傍を離れている。侍女たちは立場を弁えているのか知らないけど、付きまとってくることはない。だから行動に移すなら今だ。
「地下牢の場所は……」
今いる場所から、俯瞰視点でおさらいしよう。
ローテルハルク城の内部マップはしっかりと記憶している。
拷問屋敷はもちろんのこと、城内には様々な部屋がある。アルバータの仕事場に、レミーゼの部屋、侍女たちの住み込み部屋、更には宝物庫なんかも……。
「そういえば書庫があったっけ……あとで行ってみようかな」
【ラビリンス】でローテルハルク城へと足を踏み入れたのは、既に廃墟と化したあとなので、書庫の本は全滅していた。
しかしまだ、この世界の書庫は無事だ。アンとドゥを地下牢から救い出したあと、もし余裕があれば覗いてみるのも悪くないだろう。
書庫に行けば、【ラビリンス】では描き切れなかった部分を、もっと知ることができるはずだ。
【ラビリンス】では不可能だったことを、あたしは自由に味わうことができる。そう考えてみると、他のプレイヤーに対し、ちょっとした優越感を覚えてしまいそうだ。
もちろん、書庫の本を読み尽くしたとしても、結局【ラビリンス】以上のことは分かりませんでした、となる可能性も否定はできないだろう。
でも、行かない手はない。
そんなことを考えながらも、あたしは目的地へと歩いていく。
城下町を通るルートは人目に付きすぎるので、却下だ。城壁内を裏ルートで、誰にも見つからないように気を付けながら地下牢を目指す。
暫くして、あたしは地下牢の入口に到着した。
ここから地下に続く階段を下りて行けば、あたしが目覚めた場所に戻ることができる。
「……よし!」
声を出し、気合を入れる。
そしてあたしは、一日振りに地下牢の中へと入って行った。
あたしの場合だと、たとえば年間一位が決まったときにもらった称号のほかに、ネット上で呼ばれていた二つ名がいつの間にか称号として加わっていた。
で、その一覧の中に、見覚えのない称号あった。
それが【転生/罪人】だ。
称号が増えるのは別に悪いことではない。
ほとんどが名誉なことだし、達成感を味わうこともできる。
まあ、称号の中には最低な部類のやつもあったりするんだけど……。
あたしが新たに獲得した称号は【転生/罪人】なんだけど、どういう意味なのだろうか。
「転生と……罪人って、あたしが地下牢に居たから……?」
目が覚めたとき、あたしはトロアになっていた。
トロアは、アンとドゥと一緒にスリをして捕まり、地下牢に入っていた。
「トロアは……罪人?」
【ラビリンス】に三姉妹が存在する場合、恐らくそれは【罪人】と表記されるだろう。
ただ、これはあくまでも予想だ。
あたしは【ラビリンス】で三姉妹を一度も見たことがないし、メインシナリオやサブシナリオにおいても彼女たちが登場することはなかった。
普通に考えるのであれば、ただデータのみが存在するモブキャラ……それが一番表現としては近いのかもしれない。
プレイヤーと、かかわることのないキャラクターでさえも、【ラビリンス】の運営会社が細部まで拘り抜いて作り上げた結果……ということかな。
そしてあたしは、そんなキャラクターの一人として生まれ変わった。
つまり……転生してしまったというわけだ。
っていうか、あたしってやっばり転生してたんだ。
現実ではとっくに死んでるってことか……。
「……心配してるかな」
いざ、死んでしまったことを実感すると、急に親の顔が浮かんでくる。
親子としての会話が多かったわけじゃないけど、自由に生きることを許してくれていたし、あのときだってあたしの身を案じて【ラビリンス】を取り上げたんだよね……。
でもまあ、今更起きてしまったことを変えることはできないし、嘆いていても仕方がない。
現実での未練といえば【ラビリンス】で遊べなくなったことぐらいだし、それはもう【ラビリンス】の世界と全く同じ世界に転生した時点で、未練ではなくなっているわけだから、とにかく今はトロアとして生きる道を考える必要がある。
いや、今はレミーゼとして……かな?
レバスチャンとテイリーの二人は、あたしの傍を離れている。侍女たちは立場を弁えているのか知らないけど、付きまとってくることはない。だから行動に移すなら今だ。
「地下牢の場所は……」
今いる場所から、俯瞰視点でおさらいしよう。
ローテルハルク城の内部マップはしっかりと記憶している。
拷問屋敷はもちろんのこと、城内には様々な部屋がある。アルバータの仕事場に、レミーゼの部屋、侍女たちの住み込み部屋、更には宝物庫なんかも……。
「そういえば書庫があったっけ……あとで行ってみようかな」
【ラビリンス】でローテルハルク城へと足を踏み入れたのは、既に廃墟と化したあとなので、書庫の本は全滅していた。
しかしまだ、この世界の書庫は無事だ。アンとドゥを地下牢から救い出したあと、もし余裕があれば覗いてみるのも悪くないだろう。
書庫に行けば、【ラビリンス】では描き切れなかった部分を、もっと知ることができるはずだ。
【ラビリンス】では不可能だったことを、あたしは自由に味わうことができる。そう考えてみると、他のプレイヤーに対し、ちょっとした優越感を覚えてしまいそうだ。
もちろん、書庫の本を読み尽くしたとしても、結局【ラビリンス】以上のことは分かりませんでした、となる可能性も否定はできないだろう。
でも、行かない手はない。
そんなことを考えながらも、あたしは目的地へと歩いていく。
城下町を通るルートは人目に付きすぎるので、却下だ。城壁内を裏ルートで、誰にも見つからないように気を付けながら地下牢を目指す。
暫くして、あたしは地下牢の入口に到着した。
ここから地下に続く階段を下りて行けば、あたしが目覚めた場所に戻ることができる。
「……よし!」
声を出し、気合を入れる。
そしてあたしは、一日振りに地下牢の中へと入って行った。