奴隷拷問が趣味の公爵令嬢を殺ってしまったので変身魔法で成りすますことにしました
【31】もう拷問は懲り懲りです
「……だ、誰って、……あたしはレミーゼですわ」
「うむ。見れば分かる。その上で聞いているのだ。きみは誰なのかと」
ダメだ、これ絶対バレてる。
油断するなと自分に言い聞かせたはずなのに、またしてもやられてしまった。
アルバータに拘束魔法を使われたあたしは、手足の自由を奪われた。
追撃が来るとマズイ。今すぐに【拘束】を解除しなくては……。
「……ふむ、まあいい。言いたくないのであれば構わんよ」
そう言うと、アルバータはあたしの傍を離れて……他の部屋には見向きもせず、地下室の階段を下りていった。
どうして?
何か知っているのだろうか?
このままでは見られてしまう。
アルバータに、レミーゼの亡骸を……。
暫くすると、アルバータは非常に軽やかな足取りで階段を上ってきた。
その顔に感情は見当たらず、先ほど同様、真顔に見えた。
「間違いであってほしかったが……」
あたしには目もくれずに地下室に向かったことから察するに、アルバータは初めから知っていたのだろう。
自分の娘、レミーゼが死んでいることを……。
でも、だとすれば誰から漏れた?
レミーゼの死体は誰にも見られていないはずだ。
テイリーが屋敷に入ったときも地下室には行かせなかった。
となると、あたしが孤児院やゲルモの拠点に向かっている間に、何者かが屋敷の中に入ったのかもしれない。
あたしはてっきり、監守のオットン辺りがレバスチャンやアルバータに告げ口したから、召喚命令が出たと思っていた。
けど、それは間違いだったらしい。
「我が愛する娘のことならば、何であろうと知っている。それこそほんの些細な仕草や喋り方、表情の作り方……その全てをね」
正解を絞り出そうと思考を巡らせていると、アルバータが話を始めた。
「だからきみを見た瞬間、違和の演出に気付いたのだ。目の前にいるはずの我が娘が偽者であるのだと」
親子の絆とでも言うのだろうか。アルバータはあたしが偽者だと気付いて、本物のレミーゼがどこにいるのか推測した。そして見当がついた。
それが地下室というわけだ。
「さて、」
一歩、あたしに近づく。
既にアルバータは真顔ではなくなっていた。今はとにかく楽しそうな表情をしている。
「果たしてきみが何者なのか……そんなことはどうでもいい。だが、我が娘レミーゼを無残な姿に変えた罪は重い……」
近づいたかと思えば、ゆっくりゆっくりと獲物を見定めるかのように、あたしを中心に歩いて回る。
「……しかしだ。幸いなことに、この屋敷には拷問器具が山のようにある。故に、その一つ一つを用いることで、きみに罪を償わせようではないか」
そう告げると、アルバータは口角を上げた。
さすがはレミーゼの父親だ。拷問することへの躊躇いがない。
「拷問……ね」
でも、レミーゼに続いて、アルバータからの拷問までも甘んじて受け入れるほど、あたしはMな性格ではない。
「それ、痛いから拒否してもいい?」
あたしはその場に立ち上がり、アルバータから距離を取る。
アルバータが地下室の様子を見に行っている隙に、あたしは手足の拘束を解いていた。
「ほう、解除魔法を使えるのか……どうやらなかなかの手練れのようだ」
逃げることはできるかもしれないが、アンとドゥの件もある。だから逃げるつもりは毛頭ない。
となれば、今やるべきことは、ただ一つ。
「次は、あたしがあんたを拘束してあげる」
アルバータの自由を奪い、【隷属】で奴隷化する。そうすればあたしへの攻撃を防ぐことができるし、逃げても追うことができなくなる。
それこそが、その命をもぎ取ることなく、あたしがこの世界で生き残る唯一の道だ。
「くく、それは実に興奮しそうだ」
その言葉を合図に、アルバータとの交戦が始まった。
「うむ。見れば分かる。その上で聞いているのだ。きみは誰なのかと」
ダメだ、これ絶対バレてる。
油断するなと自分に言い聞かせたはずなのに、またしてもやられてしまった。
アルバータに拘束魔法を使われたあたしは、手足の自由を奪われた。
追撃が来るとマズイ。今すぐに【拘束】を解除しなくては……。
「……ふむ、まあいい。言いたくないのであれば構わんよ」
そう言うと、アルバータはあたしの傍を離れて……他の部屋には見向きもせず、地下室の階段を下りていった。
どうして?
何か知っているのだろうか?
このままでは見られてしまう。
アルバータに、レミーゼの亡骸を……。
暫くすると、アルバータは非常に軽やかな足取りで階段を上ってきた。
その顔に感情は見当たらず、先ほど同様、真顔に見えた。
「間違いであってほしかったが……」
あたしには目もくれずに地下室に向かったことから察するに、アルバータは初めから知っていたのだろう。
自分の娘、レミーゼが死んでいることを……。
でも、だとすれば誰から漏れた?
レミーゼの死体は誰にも見られていないはずだ。
テイリーが屋敷に入ったときも地下室には行かせなかった。
となると、あたしが孤児院やゲルモの拠点に向かっている間に、何者かが屋敷の中に入ったのかもしれない。
あたしはてっきり、監守のオットン辺りがレバスチャンやアルバータに告げ口したから、召喚命令が出たと思っていた。
けど、それは間違いだったらしい。
「我が愛する娘のことならば、何であろうと知っている。それこそほんの些細な仕草や喋り方、表情の作り方……その全てをね」
正解を絞り出そうと思考を巡らせていると、アルバータが話を始めた。
「だからきみを見た瞬間、違和の演出に気付いたのだ。目の前にいるはずの我が娘が偽者であるのだと」
親子の絆とでも言うのだろうか。アルバータはあたしが偽者だと気付いて、本物のレミーゼがどこにいるのか推測した。そして見当がついた。
それが地下室というわけだ。
「さて、」
一歩、あたしに近づく。
既にアルバータは真顔ではなくなっていた。今はとにかく楽しそうな表情をしている。
「果たしてきみが何者なのか……そんなことはどうでもいい。だが、我が娘レミーゼを無残な姿に変えた罪は重い……」
近づいたかと思えば、ゆっくりゆっくりと獲物を見定めるかのように、あたしを中心に歩いて回る。
「……しかしだ。幸いなことに、この屋敷には拷問器具が山のようにある。故に、その一つ一つを用いることで、きみに罪を償わせようではないか」
そう告げると、アルバータは口角を上げた。
さすがはレミーゼの父親だ。拷問することへの躊躇いがない。
「拷問……ね」
でも、レミーゼに続いて、アルバータからの拷問までも甘んじて受け入れるほど、あたしはMな性格ではない。
「それ、痛いから拒否してもいい?」
あたしはその場に立ち上がり、アルバータから距離を取る。
アルバータが地下室の様子を見に行っている隙に、あたしは手足の拘束を解いていた。
「ほう、解除魔法を使えるのか……どうやらなかなかの手練れのようだ」
逃げることはできるかもしれないが、アンとドゥの件もある。だから逃げるつもりは毛頭ない。
となれば、今やるべきことは、ただ一つ。
「次は、あたしがあんたを拘束してあげる」
アルバータの自由を奪い、【隷属】で奴隷化する。そうすればあたしへの攻撃を防ぐことができるし、逃げても追うことができなくなる。
それこそが、その命をもぎ取ることなく、あたしがこの世界で生き残る唯一の道だ。
「くく、それは実に興奮しそうだ」
その言葉を合図に、アルバータとの交戦が始まった。