奴隷拷問が趣味の公爵令嬢を殺ってしまったので変身魔法で成りすますことにしました
【40】あたし、何かしました?
「あ~、気持ちいい」
お風呂から上がったあたしは、だらしない格好のままソファに寝転がり、侍女たちに団扇で扇がれていた。
ここはひょっとして極楽かな?
そんなバカみたいなことを考えながら、侍女たちに視線を向けてみる。
「……」
うん、なんだろうね、これ。
こんなだらしない人間の相手をしているというのに、めちゃくちゃ嬉しそうな顔で扇いでいるんですけど……。
そっと、目を逸らす。
微笑ましいものでも見ているかのような視線を向けないでほしい。
なんていうか、その、……ローテルハルクの聖女と呼ばれるだけのことはある。
でもはっきり言うと、レミーゼの信者怖いです。
……まあ、それも込みで、あたしはレミーゼ・ローテルハルクがどれほど民に愛されているのか、再認識することができた。
だからこそ、歴史を変えなければならない。
【ラビリンス】の世界のレミーゼと同じように、あたしも皆を守ってあげたい。心からそう思う。
そのために、あたしにできることは、ただ一つ。
王国公認の聖女フレア・レ・コールベル。彼女を敵に回さないこと……。
つまり、今あたしがすべきことは、事前の根回しだ。
領民たちが仕出かす数々の嫌がらせを、前以って回避しておくこと!
それがあたしに与えられたミッション!
目指せ、フレアに嫌われずに何事もなくお帰りいただく作戦!
「……あ、テイリー! ちょうどいいところに来たわね!」
「っ」
侍女たちに甘やかされていると、視界の端にテイリーの姿が映った。
レミーゼの直属兵のはずが、今までどこをほっつき歩いていたのだろうか。
まあ、それはいい。おかげさまでお風呂を満喫することもできたし。
とはいえ、推しの成分を得ておきたいから、思い切って声をかけてみた。
「ねえ、これから凄く忙しくなるの。だから貴方の手を貸して欲しいんだけど」
「お、俺ですか……」
フレアがローテルハルク領入りをする前に、やるべきことは山ほどある。猫の手だって借りたいほどだ。……ところで、この世界って猫はいるのかな?
「当然でしょ? 貴方以外に誰がいるって言うのよ?」
手伝ってほしいとお願いするけど、何やら挙動不審だ。
目が泳いでいるようにも見えるけど、どうかしたのだろうか。
「テイリー、貴方の働き次第では、ローテルハルク領の未来が大きく変わるかもしれないわ。だからあたしを手伝いなさ――」
「すみません!」
あたしの台詞を遮って、テイリーが謝る。
「……え?」
「お、俺! ……失礼します!」
一言残して、テイリーはあたしの前から全速力で走り去っていく。
なに、あれ?
あたし……ひょっとして、避けられてる?
テイリーはレミーゼの直属兵で、あたしの命令は絶対のはずなのに……。
……どうして?
あたし、テイリーに何かした……?
お風呂から上がったあたしは、だらしない格好のままソファに寝転がり、侍女たちに団扇で扇がれていた。
ここはひょっとして極楽かな?
そんなバカみたいなことを考えながら、侍女たちに視線を向けてみる。
「……」
うん、なんだろうね、これ。
こんなだらしない人間の相手をしているというのに、めちゃくちゃ嬉しそうな顔で扇いでいるんですけど……。
そっと、目を逸らす。
微笑ましいものでも見ているかのような視線を向けないでほしい。
なんていうか、その、……ローテルハルクの聖女と呼ばれるだけのことはある。
でもはっきり言うと、レミーゼの信者怖いです。
……まあ、それも込みで、あたしはレミーゼ・ローテルハルクがどれほど民に愛されているのか、再認識することができた。
だからこそ、歴史を変えなければならない。
【ラビリンス】の世界のレミーゼと同じように、あたしも皆を守ってあげたい。心からそう思う。
そのために、あたしにできることは、ただ一つ。
王国公認の聖女フレア・レ・コールベル。彼女を敵に回さないこと……。
つまり、今あたしがすべきことは、事前の根回しだ。
領民たちが仕出かす数々の嫌がらせを、前以って回避しておくこと!
それがあたしに与えられたミッション!
目指せ、フレアに嫌われずに何事もなくお帰りいただく作戦!
「……あ、テイリー! ちょうどいいところに来たわね!」
「っ」
侍女たちに甘やかされていると、視界の端にテイリーの姿が映った。
レミーゼの直属兵のはずが、今までどこをほっつき歩いていたのだろうか。
まあ、それはいい。おかげさまでお風呂を満喫することもできたし。
とはいえ、推しの成分を得ておきたいから、思い切って声をかけてみた。
「ねえ、これから凄く忙しくなるの。だから貴方の手を貸して欲しいんだけど」
「お、俺ですか……」
フレアがローテルハルク領入りをする前に、やるべきことは山ほどある。猫の手だって借りたいほどだ。……ところで、この世界って猫はいるのかな?
「当然でしょ? 貴方以外に誰がいるって言うのよ?」
手伝ってほしいとお願いするけど、何やら挙動不審だ。
目が泳いでいるようにも見えるけど、どうかしたのだろうか。
「テイリー、貴方の働き次第では、ローテルハルク領の未来が大きく変わるかもしれないわ。だからあたしを手伝いなさ――」
「すみません!」
あたしの台詞を遮って、テイリーが謝る。
「……え?」
「お、俺! ……失礼します!」
一言残して、テイリーはあたしの前から全速力で走り去っていく。
なに、あれ?
あたし……ひょっとして、避けられてる?
テイリーはレミーゼの直属兵で、あたしの命令は絶対のはずなのに……。
……どうして?
あたし、テイリーに何かした……?