何があってもどこにいても、僕は君だけを愛してる
家路
───一度寝た相手に経営相談をするなんて、花はどうかしている。困ったことは自分に相談すればいいものを、なぜ面倒くさい方向に物事を運ぶんだ。


遼は運転しながら無性に腹を立てていた。


渋滞にはまり、鎌倉の自宅に着いたときには昼過ぎになっていた。庭には花の軽自動車が停められていた。


玄関に立つと、ドアの向こうから、バターの匂いが漂ってくる。花がパンかお菓子を焼いているらしかった。
遼の怒りは、温かく甘い香りにいとも簡単に消されてしまった。

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