何があってもどこにいても、僕は君だけを愛してる
砂糖と卵の甘い香りのただなかで、花はダークチェリーの缶詰に缶切りの刃を立てながら振り向いた。遼は自分の好物のダークチェリーデニッシュを作るつもりだとわかった。


「遼さん、台所借りてるよ」

「かまわないよ」

遼は思わず後ろから花を抱きしめた。

「あたし、すっごく、やいたのよ」

「パン?」

「遼さんのバカ、やきもちよ。昨夜から一体、どこに出かけてたの?」

「ごめんね花ちゃん…実は君を探して、金街に行っていた。僕も、すごく妬いた」

「どうして金街に?なにを遼さんがやいたの?」

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