腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「よし!あと1周!」



パンッと頬を手で叩き、気合いを入れる。


2週目に入るけど、今回は倍速を使わないで普通にじっくりアニメを見る。

1周目で気になった所や、面白かったところ、正直納得がいかなかった所を特に注意深く見る。

そうして見ていると、1周目じゃ気付かなかった伏線やキャラの心情の変化などが深く知ることが出来た。


(……結構面白いかも)


内容はかなり人を選ぶ物で、信じられないぐらいグロ描写が多かったけどとても味わい深い内容だった。

私もひねくれてる所があるから、こういう人と違う作品をすきになる気持ちが分かるんだよね。



「……よし!終わったぁ〜!」



最終話のエンディングを見届けて、グーッと背伸びをする。


「えーっと……って、もうこんな時間かぁ……」


朝から見始めたはずなのに、もう外は真っ暗になっていた。

ずっと画面に集中してたのもあって目はしばしばする。
だけど、これで佐原君の攻略は終わりじゃない。


鬼門はあの超高額ゲーム。

あれは私の貯金を全額使っても買えないぐらいのとんでもない金額の付いたゲームだ。

ゲーム機もちゃんと買わなきゃいけないし、絶対に実際にプレイする事は出来ない。


「はぁ〜〜〜、頑張るかぁ」



全ては大好きな向坂君のため。

あの時握った手の感覚を思い出しながら、再び気合いを入れた。


< 10 / 107 >

この作品をシェア

pagetop