腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
いや……そんな事よりもだ。
向坂君はなにを考えているんだろう?
今までひたすら私達の関係を隠してきていたのに。

唐突に告げられた事実?に慎君は半信半疑だ。



「……え?お前達が付き合う……?なんで………?」


「なんでって、好きだからだよ。なにかおかしいこと言ってるかな?」


「いや、普通はそうだろうけど、お前らはクラスでなんの接点もなかったじゃないか。それとも、裏でなにかあったのか?」


「あぁ。あったよ?行きつけの喫茶店で偶然雪平さんと会ってね。その時に色々な事を話したんだけど、すっかり意気投合してさぁ。それから何度かそこで会ってるうちに俺から告白したんだ。ねぇ雪平さん?」


「え……あ、は、はい。そ、そうです…」



なにを言うかと思えば全部嘘じゃないか。
よくもここまで平然とした顔で嘘をつけるなぁと、一周まわって惚れ惚れしてしまう。

向坂君の堂々とした話し方に、徐々に本当かもしれないと思い始めたのか、困惑した顔で「……マジか」と呟いた。



「全然タイプが違いそうに見えるけどな……」


「そう?結構俺達似てる所も多いんだよ」


「周りの奴等に公言してないのはなんでなんだ?」


「雪平さんが恥ずかしがり屋で周りにはあんまり言わないで欲しいみたいなんだ。だからかな」


「本当かよ雪平?」



ブンブンと首を縦に振ると、疑う気も薄れてきたのか「へぇ」と意外そうに呟いた。

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