腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「もう一つ質問して良いか?」


「どうぞ」


「お前らが付き合ってるのは分かったけど、そもそも谷口先生とあの事を話していたのはなぜだ?お前らからしたら遥香は知り合いでもなんでもないはずだろ」


「別に俺達は君の妹について知りたかった訳じゃない。立花を失墜させる事が目的なんだ」


「立花を?お前もなにかされたのか?」


「……まぁ、そんなもんかな。詳しい理由は話せないけど」



流し目で私をちらりと一瞬見据えると、すぐに慎君に笑顔を作った。

向坂君の友達の事は慎君にはまだ言えないって事なんだろう。

理由を教えて貰えない事に少し拗ねた表情をしたものの、それでも慎君は向坂君を気遣うような視線を向けた。



「向坂、詳しい理由は聞かないが……俺に協力出来る事があればなんでも言って欲しい」


「ありがとう。それじゃ、一つ俺から質問があるんだけど良いか?」


「ああ、なんだ?」



「どうして俺達の教室に来てたんだ?東校舎なんて普段ならまず来ないと思うんだけど。それか、俺達に隠れてこっそり着いてきてたとか?」


「いや……隠れて着いてきた訳じゃない。ただ、用があったんだ。東校舎にな」


「ふぅん、なるほどね」



全く納得してなさそうな顔で慎君を見る向坂君に、慎君はバツが悪そうだ。

< 103 / 164 >

この作品をシェア

pagetop