腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「もう一つ質問して良いか?」
「どうぞ」
「お前らが付き合ってるのは分かったけど、そもそも谷口先生とあの事を話していたのはなぜだ?お前らからしたら遥香は知り合いでもなんでもないはずだろ」
「別に俺達は君の妹について知りたかった訳じゃない。立花を失墜させる事が目的なんだ」
「立花を?お前もなにかされたのか?」
「……まぁ、そんなもんかな。詳しい理由は話せないけど」
流し目で私をちらりと一瞬見据えると、すぐに慎君に笑顔を作った。
向坂君の友達の事は慎君にはまだ言えないって事なんだろう。
理由を教えて貰えない事に少し拗ねた表情をしたものの、それでも慎君は向坂君を気遣うような視線を向けた。
「向坂、詳しい理由は聞かないが……俺に協力出来る事があればなんでも言って欲しい」
「ありがとう。それじゃ、一つ俺から質問があるんだけど良いか?」
「ああ、なんだ?」
「どうして俺達の教室に来てたんだ?東校舎なんて普段ならまず来ないと思うんだけど。それか、俺達に隠れてこっそり着いてきてたとか?」
「いや……隠れて着いてきた訳じゃない。ただ、用があったんだ。東校舎にな」
「ふぅん、なるほどね」
全く納得してなさそうな顔で慎君を見る向坂君に、慎君はバツが悪そうだ。