腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「あー、なんと言うか……あんまり声を大にして言うような事でもない用事なんだ」


「あ、白石先生に会いに行った、とか……?」


「なっ、雪平……お前なんで分かったんだ?」



あ、適当に言っただけだけど、たまたま当たったみたい。



「いや、なんとなく……白石先生は非常勤の先生だし、東校舎に出入りする事は少なくないかなぁって思って……」


「……お前、まさか、俺と白石先生の関係知ってるのか!?」


「いやいやいや!!知らないよ!?しょっちゅう密会してるのは知ってるけどそれ以外の事は知らないって!!」


「うわ、マジか…そこまで知られてたなんて……」



はー……と慎君に溜息を吐かれてしまった。
まぁ、確かにバレたくない事だったかもしれない。



「……俺は良い、でも白石先生に迷惑がかかるのは避けたいんだ。だから、他の奴らにはこの事は言わないでくれ」


「勿論良いけど……二人は付き合ってるの?」


「そんな関係じゃない。ただ、俺が一方的に憧れてるだけなんだ」



照れたように頬をかく慎君。

彼を見てると、彼とは対照的な谷口を思い出すなぁ。


「じゃあ、これから白石先生の所に行くのか?」


「ああ。まだ居るかは分からないけど……今日はありがとう。お前達と話せて良かった」



ペコリと礼儀正しくお辞儀する慎君。

真面目で真っ直ぐな性格は彼の良い所だと思うけど、向坂君のしようとしている事をちゃんと受け入れてくれるだろうか。


(私でも躊躇するような事をするからね……)



こっそり向坂君を覗き見するも、彼の心情は何も分からなかった。


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