腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「そ、それもそうかな……」
「普段は無理矢理来る癖に、妙な所でくだらない事を考えるんだな。こっちだ、着いてこい」
立派な階段を登り2階に上がっていくと、なにやら高級そうな壺や絵画が飾られたリビングに案内された。
しかしとてつもなく居心地が悪い。
装飾品は多いように見えるが、家の中自体は少し薄暗く感じる。
外で雨が降っているから余計そう感じるのかもしれない。
「座って待ってろ」
「あ、はい」
言われた通りに座ってみる。
やっぱ金持ちの家の椅子は座り心地が良いなーなんて考えていると、隼瀬君は座らないでそのままどこかに行ってしまった。
この状態の私を一人にするか普通…と八つ当たりに近い感情で無言で待っていると、黒北さんがティーカップを二つと何やら茶菓子のようなものを持って来てくれた。
「あ、どうも」
「……失礼致します」
「あ!ちょ、く、黒北さん!」
なんだか気まずくて無駄に呼び止めてしまった。
案の定、黒北さんは訝しげに私を見つめると「……何か?」と声のトーンを下げて私に言葉をなげかけた。
「あ、いや……さっき、隼瀬君が黒北さんの植えてくれた花を紹介してくれて……とても綺麗な花ばかりでした」
「……左様ですか。あの花達は雅様を想い、植えた物………貴女の上辺だけの賛辞を貰う為に植えた訳ではありません」
そう言い残すと、黒北さんは私を冷めた目て見つめた後リビングを立ち去ってしまった。