腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
感じが悪い所の騒ぎじゃないけど、なんであれだけ嫌われてるのかさっぱり分からない。
そこまで嫌われるほど彼女とは接点が無いはずなんだけどなぁ。
「……なんだ、間抜けな顔して」
「へ?いや、まぁ……」
ボーッと彼女が出ていった所を見つめていると、隼瀬君が戻ってきたようだ。
「やっぱり黒北さん私の事嫌いだよ……なんか隼瀬君が私の嫌なこと言ってるんじゃないの?」
「は?別に、お前がしつこい事ぐらいしか言ってない」
「言ってんじゃん!!それだよ絶対!!」
間違いなくそれが原因だよ!
「隼瀬君の言い方が悪いんだよ絶対……後で私の印象を訂正しておいてよ」
「それを踏まえたとしてもだろ。こんなんでも一応客人には変わりない筈だけどな。なにがそんなに気に入らないのか…」
うーんと悩む素振りを見せる隼瀬君。
相変わらず悩む顔もとてつもない美形だ。雰囲気も若干向坂君に似てなくもないし。
まぁタイプではないんだけどね。
「隼瀬君、顔カッコいいんだから学校行ったら絶対モテるよ。彼女とか欲しくないの?」
「はぁ……?お前、黒北の話をしたと思えばいきなりなんだよ…」
「いや、顔見てたらそう思ったから……恋愛とかしたら、もしかしたら価値観変わるかもしれないよ。毎日が薔薇色になったりとか!」
「そんな風になるのは単純な奴だけだろ?」
「そんな事ないよ。なんて言うか、誰を好きになるかが大事なんじゃないかなぁ」
私が薔薇色かと言われるとなんとも言えないけど、今までよりだいぶ幸せではあると思う。
上手く説明出来ないけど、向坂君と付き合えているという事実だけで、気持ちが強くなれる気がするんだ。