腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「……私達のクラスに慎遥香さんの兄弟の慎優仁君が居るんだよ。彼から、遥香さんと隼瀬君が仲が良かったって聞いて……」
「……慎に同い年の兄弟が居るなんてな。俺が学校に行ったら、それこそ兄の方に殺されるかもしれないな」
「な、なんでそうなるの?隼瀬君は悪くないじゃん」
「俺が中学の時と同じように最初からひきこもっていればこんな事にはならなかった。慎は俺の隣に座っただけで、こんなことになったんだ」
辛そうに視線を下にやる隼瀬君。
私は彼の人生をめちゃくちゃにした人間を知っている。
でもここで教えていい物だろうか?
もしかしたら、自分の身を顧みず復讐に走ってしまうかもしれない。
立花がどうなろうが知った事ではないが、隼瀬君は話を聞く限りだととても不憫な境遇だ。
彼に負荷がかかる事は避けた方が良いと思う。
(でも、立花とどんな関係があったかは知りたい)
遠回しに聞くのが良いだろうか?
「…隼瀬君、隼瀬君も分かってると思うけど、中学で続いてた事が高校になっても終わらないって事は、中学と高校が一緒の人間なんだよ。誰か……心当たりとかはないかな?」
「……佐原とかか?アイツ、俺の事気に入らなさそうな顔してたしな」
「えっ!さ、佐原君じゃないよ!」
「なんで佐原じゃないって分かるんだ?」
「そういう事出来る人間じゃないからだよ!」
正確に言うと、出来ないというよりはやらないって感じだと思う。
攻撃的な雰囲気を纏ってはいるけど、佐原君は自分から誰かを傷付けにいくタイプじゃないし。
だが、私の断言した言葉が彼からしたら不快だったのだろう。