腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「家はおかしいかも……で、でも、近付いた理由は、絶対立花に関連していると思うんだけどなぁ……」


「……私達、騙されてるのかも。本当は良いように使われて、最後は捨てられるのかもしれない」


「う、う〜ん……」



……正直、絶対違う!とは否定出来ない。

そもそも、始まりが脅しからスタートした交際だから誠実さの欠片もない。
それに、本人も"協力するなら付き合ってあげてもいい"と最初から言ってたじゃないか。

終わった後も付き合ってくれるとは限らない。


(なにも考えずにここまで来たけど、このままで本当に良いのかな)


立花を地獄に落とせたとして、その後は?

その前に、倉木さんにはどう説明するんだろう。復讐の為に利用してただけだって正直に言うつもりなんだろうか。

思考がぐるぐると回ってきた。



「……ごめんなさい、混乱するようなこと言って。どうしても不安になってしまったから」


「い、いや……不安な気持ちは分かるから」


「話してちょっとだけスッキリしたかも。抱え込むとストレスになるでしょ?だから、話せて良かった」



ほぼ一方的に話を聞かされただけだけど、倉木さんがスッキリしたなら、まぁ良かったのかな。

笑顔で私に微笑みかけてくれる倉木さんを見るに、多少私に心を開いたと言うのが感じ取れた。
複雑な心境ではあるものの、邪険に扱うのも違うと思い私も笑顔で返す。


< 122 / 164 >

この作品をシェア

pagetop