腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「……そういえば、谷口先生から聞いた話がもう一つあるの」


「まだなにか……」


「今度は向坂君の事じゃないよ。雪平さん、貴女のこと」



笑みを消して真剣な顔で私を見つめる倉木さんに思わず面食らう。



「最近背後に気配を感じない?」


「は、背後??」


「生徒会の清水さんっているでしょう?彼女が貴女の後をよく付けてるようなの。だから、気を付けて」



その言葉を聞いて背筋に寒気が走る。

後を付けてるって、なんで私なんかの?
生徒会の清水さんにマークされてるって大丈夫なの?

そう言えば、最近視線を感じることが多くなったけど、まさかそれは清水さんが……



「なんで私の後なんか……」


「それは分からない。けど、そう言う事だから…」


そう言って、倉木さんはベンチから立ち上がった。


「これから、学級委員の集まりがあるから……また機会があったら話しましょう」


「ちょ、ちょっと!」


「私の話に付き合ってくれてありがとう。それじゃあ、さようなら」



彼女は笑顔で笑いかけると足早にこの場を去ってしまった。

わざわざこんな事を教えてくれるって、意外と倉木さんは良い子なのかもしれない。

にしても気味が悪い。
後をつけてるって、なんの為にしてるのかも分からない。



「考えすぎても仕方ないか……」


モヤモヤを抱えながらも、中途半端に残ったサンドイッチを口の中に放り込んでその場を後にした。


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