腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「昨日、お前倉木となに話してたんだ?」


翌日の昼休みのこと。

今日は佐原君から「購買行こうぜ」と声を掛けてくれたので、一緒に購買まで歩いていた。



「え?いや、普通の話だよ。世間話みたいな」


「ふーん、お前と倉木がねぇ?」


「そう言う佐原君こそ昨日はどこ行ってたの?教室戻った時に居なかったけど」



倉木さんと話し終わった後に教室に戻ったら、佐原君は教室に居なかった。

珍しいなぁってちょっと気になっていたんだよね。

佐原君は私の問いに特に気にした様子もなく「あぁ」と返事をした。



「他のクラスに行ってた」


「へー、佐原君が珍しいねぇ」


「みみず人間の単行本を貸しに行ってたんだよ。布教すんのもファンの役目だろ??」



ドヤ顔で言う佐原君に曖昧に笑いかける。

二部を痛烈に批判してた割には何だかんだ読み続けてるんだから、素直なんだか素直じゃないんだか分からない。


そう他愛のない話をしながら、廊下を歩いていた時だった。


「危ない!!!」


「……え、」



誰かの声と共に、窓ガラスがガシャンッ!!と派手な音を立てて割れるのが目に入る。

< 124 / 164 >

この作品をシェア

pagetop