腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「さ、佐原!?だ、大丈夫なのか!?」
「うっせーなぁ、大丈夫っすよこんぐらい」
保健室に慌てて来る谷口先生に対して鬱陶しそうに口を開く佐原君。
あの後無事に保健室に連れて行くと、佐原君の腕を見た保健室の先生が顔面蒼白になりながら止血をしてくれた。
そのおかげで今ではすっかり血が止まっている。
「な、なにがあったんだ雪平!」
「え、えっと、私達が購買に行こうと歩いてたら窓から大きな石が投げつけられて、それで……」
「そんな事が……佐原、腕の様子はどうだ?かなりの出血と聞いたが……」
「だから大丈夫だって言ってるでしょ!大袈裟なんだよ、アンタら」
包帯ぐるぐる巻きになってる腕を見ると、とても大丈夫そうには見えないが当の本人はピンピンしている。
「石を投げた生徒はこっちできちんと探すとして……佐原は……今日は保護者の人に迎えに来てもらいなさい」
「はぁ!?嫌っすよそんなの!絶対面倒臭いじゃん!!」
「鞄は僕がここに持って来るよ。雪平はどうする?とりあえず教室に戻るか?」
「……うーん……」
私がここに居たってやれることは無いと思うけど…
でも、佐原君の怪我が私と全くの無関係とはどうしても思えない。
「佐原君が、その……心配なので……もう少し、側にいても……」
「……分かった。次の授業は休みなさい。担当の教科の先生には僕から伝えておくよ」
こういう時に物分りの良い先生だなぁと改めて実感する。
谷口は淫行教師という不名誉な称号が無ければ普通に良い先生なのだ。