腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「わ、分からない……」


「……ま、いいや。そんなに気になるんなら谷口センセーにでも相談してみろよ。意外と乗ってくれるかもしれんぜ」


「うん、そうだね……そうしよ」



意外と、こう見えて佐原君も私の事心配してくれてるのかもしれない。
しかし、谷口先生に相談って言うのは結構アリかもしれない。
そもそも清水さんが私の後を付けてるって言うのは谷口先生から聞いた事らしいし。

そんなことを考えていると、当の本人の谷口先生が佐原君の鞄を持って保健室にやって来た。



「佐原。ご両親とも迎えに来てくださるそうだ」


「あーもうめんどくせー!絶対なんか言われるよ…」


「雪平も教室に戻りなさい。僕はしばらく佐原と話すことがあるから……」


「は、はい……あっ!谷口先生、近いうちに相談したい事があるんですけど、良いですか?」



そう私が切り出すと、谷口は露骨に嫌そうな顔をした。
私は基本的に向坂君とセットで居ることが多いからそれ関連の話をされると思っているのだろうか。

まぁ関連してると言えば関連してるけど、別に谷口先生を脅すとかじゃないからなぁ。

佐原君の前ということもあって断るとも言えないのか、渋々こくりと頷いてくれた。



「じゃあ佐原君、お大事に……」


「おー、雪子もまたなー」



包帯ぐるぐる巻きの手でブンブンと手を振ってくれる佐原君になんとも言えない感情を抱きながら保健室を後にした。

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