腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「あ、えっと……」
「……」
「ごめん………つい、同士を見つけたと思って……」
一切私を見ようとしないで漫画を読んでいる所を見るに、もう私と関わる気は1ミリもないらしい。
ドクドクと脈打つ鼓動から逃げるように向坂君を見ると、彼はなんの感情を持たない瞳でただ私と佐原君のやり取りを見ていただけだった。
『失敗しても、私と付き合っててくれるの?』
『勿論、俺は雪平さんのことが好きだから』
あの時の言葉は全て幻だったのかってぐらいに、彼は無機質な物を見るように私を見つめていた。
私は、向坂君に捨てられるんだろうか?
無情にも予鈴が教室に鳴り響き、私は放心状態のまま席に座った。