腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「か…彼女は"清水さんが私の後を付け回している"って言っていました。それは本当ですか?」


「……あぁ。それも隼瀬と君が交流するようになってからの事だ。おそらく、立花の指示だろう」



やっぱりという感情と、沈むような重い感情がない混ぜになる。
まさに隼瀬君が恐れていた事になってしまったかもしれないって事だろうか。



「悪い事は言わない。隼瀬と交流するのは控えた方が良いだろう」


「うーん……でも、彼とまた会うって約束しちゃったんですよね……」


「……なぜ隼瀬にこだわる?彼から得られる情報はあまりないと思うが…」



なぜ。
なぜと言われると、反応に困ってしまう。

向坂君に言われたからって言うのが大前提にあるけど、なんだか情が少し移ってしまったと言うのもある。

私も塞ぎ込んで友達が出来ないタイプだったから、勝手に感情移入してしまってるのかもしれない。



「……なんでかはあんま分からないですけど、友達みたいになったからですかね……」


「……そうか。ただ、用心するに越した事はない。この間石を投げた奴等は生徒会の久我のグループの人間らしいからな」


「ひぇっ……さ、佐原君も一緒に居たって言うのに……」


やはり、彼を巻き込んで怪我をさせてしまったようだ。
罪悪感がチクリと刺激すると谷口は「いや…」と少し考えるように言った。



「一応その事を立花に報告をしたが、佐原が怪我をすることは想定外だったらしい。久我に対して強い口調で叱責をしているのを見たよ」


「え、じゃあ、立花は佐原君が怪我した事は望んで居なかったってこと?」


「そういうことになる。元々、佐原は立花のお気に入りだからな。もしかしたら、佐原と一緒に居る時は奴等も積極的な行動は控えるかもしれない」



これは良い事を聞いた。

佐原君を魔除けとして使えば、もしかしたらああいった嫌がらせを回避出来るかもしれない。


< 131 / 164 >

この作品をシェア

pagetop