腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「なんか緊張するな〜〜〜……」
夜の8時頃。
ご飯を食べてお風呂に入って、後は向坂君に電話をするだけとなった。
ベッドでゴロゴロ転がりながら、携帯とにらめっこをする。
最近あんまり話せてなかったから声を聞くのも久しぶりだよ。
携帯に向坂君の番号をポチポチと打ち込み、ついに発信ボタンを押す。
プルル……と数回コールが鳴ったあと、ピッと音が鳴った。
『……もしもし』
電話越しだからなのか、知らない番号から電話が来たからなのか分からないけど、いつも聞いているその声は普段よりも幾分か低いように聞こえた。
「あっ!あの、もしもし……雪平ですけど……」
『……え、雪平さん?どうしたの、電話なんてかけてきて』
慌てて自分の名前を名乗ると、向坂君は先程の声とは一転して驚いたように声を弾ませた。