腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「……向坂君は?」


『え?』


「和泉さんと付き合ってる……というか、浮気してるとか、ない?」


『心外だなぁ、そんな事ある訳ないじゃないか。雪平さん俺のこと疑ってるの?』


「う、疑ってるって言うか……家に行ってたって言うのは……?」


『あ、それは本当』


「ほ、本当!?じゃあ、う、浮気じゃん!!」


『でも雪平さんだって、ノートを渡しに隼瀬の家に行ってるよね?なら、それも浮気だろ?』



うっ、と言葉に詰まる。

でもそれとこれとは話が違うと思う。
私は向坂君に言われて隼瀬君と仲良くしてるのであって、全く浮気とかじゃない。


と、反論したかったけど……家に上がらせて貰ったという事実がある手前、私も人のことを言えないかもしれない。



『俺も雪平さんも立花の為に"仕方なく"会ってるだけだろ?それなら気にする必要なんてないよ』


「じゃあ、和泉さんに情報を聞くためだけに家に上がったり上がらせたりしてると…」


『そう言うこと。ほら、何もおかしい事なんてないだろ?』



本当におかしい事なんてないんだろうか。

向坂君の声って妙に説得力があるように聞こえるんだよね。



『雪平さん』


優しげな声が電話越しから聞こえてくる。



『俺が他の子と絡んでて不安だよね。大丈夫、全部終わったら俺は雪平さんだけのモノになるから』


「えっ……?ぜ、全部、終わったら…?」


『そう、この復讐が全部終わったらね』



全部終わったら、私だけのモノになる……



「じゃあ、倉木さんはどうなるの?」



"最後は捨てられるかもしれない"

彼女はそれを一番恐れていた。
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