腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「雪子〜、帰ろうぜー」



ガンッ、といつものように軽く私の机を蹴る佐原君。


「あ〜……今日は隼瀬君の家に行こうと思ってたんだよね…」


最近行けてないから隼瀬君も寂しい思いをしてるんじゃないかな。


「えー!お前まだあいつん家行ってんの!?もしかして好きなのか?」


「いや、そういう意味で好きじゃないよ…でもほら、結構仲良くなったからさ」


「へー、無駄に義理堅いなお前」



無駄に、って佐原君は一言いつも余計だ。

首を傾げながら変な奴って顔で一人で教室の扉に行く佐原君。



「佳都!」


「あだっ!!」


佐原君が教室を出ようと扉に手をかけた時、物凄い勢いで扉が開いた。
いきなりの事で反応が取れなかったのか、佐原君は手を扉にぶつけてしまい悶絶しているようだった。


「さささ佐原君!!」


「いってぇっ……てめぇいきなり何しやがんだ!!」


「は?アンタ誰?邪魔なんだけど。私は佳都に用があんの」


「お前が無理矢理開けたせいで指が挟まってんだよこっちは!」


「うっわ、ダッッサ……挟んだぐらいでいちいち喚かないでくんない?てか、そんなのどうでも良いから、早くどいてって言ってんでしょ!!」


「おい向坂ァ!この女どうにかしろ!!」



ま、まずい……佐原君完全に頭に血が上ってる…

佐原君は後ろを振り返り、まだ教室の中に居る向坂君に大声で怒鳴り散らす。

流石の向坂君もこの状況を上手くスルー出来なかったのか、不愉快そうな顔を隠すことなく和泉さん達に近付いて行く。



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