腹黒王子とめぐるの耽溺日誌


「読んで来たよ佐原君!!!」



佐原君が貸してくれた漫画と一緒に10枚ほどのレポート用紙を彼に渡す。



「は?なにこれ?」


「もう言葉に出すとまたキモいとか言われそうだから感想レポート用紙に書いてきた!それにしても素晴らしい漫画だよ、"みみず人間"!」



興奮気味に話す私に少しポカーンとした顔をしていたが、レポート用紙をパラパラとめくるとまた昨日と同じようにニヤリと口角を上げて笑った。



「お前本当に凄まじくキモいな」


「酷い!あ、でもキモい方が人間らしくて良いよね?ね?」


「あはははっ!」



ニヤニヤ笑ったと思ったら今度はケラケラと笑い始めた。
意外と佐原君は笑い上戸なのだろうか。




「お前さぁ、なんで今まで俺に話しかけて来なかったの?」


「へ?」


「こんなにキモ面白い奴が俺のクラスに居ると思わなかった」



キモ面白いはギリギリ悪口っぽいが、佐原君が言うキモ面白いはかなりの褒め言葉だ。

貸してもらったみみず人間という漫画を見てようやく理解したけど、彼が言っていた"キモい"って表現はみみず人間の中では"奇妙だけど面白くて魅力的な人間"という意味を持っているみたいで。


(でも初見ですげーキモいとか言われたら普通に悪口だと思うじゃん??)


しかもイヤホンまでしてたんだから余計そう思うよ。

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