腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「へー、一緒なんだ!向坂君って中学の時どんな感じだったの??」
「…多分、アンタが思ってる通りだと思う」
つまり変わらないって事かな?
確かに向坂君って昔からあんな感じなんだろうなぁって想像出来る。
「じゃあ、昔から優しくてカッコよかったんだなぁ」
「…………アンタさ、本当に向坂が優しいと思ってる?」
朝霧君の目が訝しげにじろりと私を見据えた。
「俺は勝手に、アンタは俺と同じなんだと思ってたけど……違ったのかな…」
「私と朝霧君が同じ……?」
「分かってないならいいや……気にして損した…」
朝霧君はそう告げると、ベンチ椅子から立ち上がりゆっくりとどこかに歩いて行った。
「ちょ、ちょっと!向坂君がどうしたの!?」
慌てて朝霧君を引き止めようとするも、ヒョイっと躱されてしまった。
朝霧君は私を憐れむような、それでいてどこか懐かしむような目を向けた。
「向坂には近付かない方が良い……きっと雪平サンも不幸になるから……」
一言そう告げると、今度こそもう用は無いと言うように朝霧君はこの場を去って行った。