腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「佐原君女子ウケしそうな見た目してるのに」


「おいやめろよ、俺は趣味でこういう見た目にしてんだから。お前も俺に変な気起こしたら殺すからな」


「いやないよ……喋ったばっかだし、私他に好きな人いるから……」



私がそう言うと、彼は怪訝そうに私を見つめる。

お前もってことは過去に起こされた事があるのだろうか。
まぁ私は向坂君一筋なので佐原君にそういう気は本当に1ミリもないんだけれど。



「ふぅん、お前恋愛出来るタイプなの?つまんねーの。んで、誰が好きなの」


「え、興味あるんだ?人の恋愛とか」


「別に良いだろ、聞くだけなんだから。さっさと応えろよ凡人」



ぼ、凡人だと!?

確かに佐原君ほど変わってるとは思わないけど、凡人って言われるのはなんか無性に腹が立つ。



「……えー、誰にも言わない……?」


「言うわけないしお前の事なんて誰も興味ないっつーの」


「ぐぐっ…………さ、向坂君が好き、かなぁ〜なんて……」


「さ、向坂!?マジで趣味わりー!!」



オーバーリアクション気味に言う佐原君に流石にイラッとくる。

私のことは置いておいても、向坂君の事を馬鹿にするのは許せない。



「なっ!どこが趣味悪いの!?」


「あんな人間味の欠片もない奴のどこが良いんだ!」


「そこが良いんじゃん!!佐原君みたいにそうやって人の事馬鹿にしたりなんてしないし!!」


「なっ!」



あ、言いすぎたかも。

そう思ったけど、時すでに遅し。
佐原君は顔を真っ赤にすると、私を指差し捲し立てるように責め始めた。

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