腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「ごめんなさい、向坂君……喧嘩……しちゃいまして……」
「ん?あぁ、大丈夫。ああいうタイプは明日には機嫌直ってるよ」
ニッコリと笑う向坂君に思わずキョトンとした顔になってしまう。
あの後、私は向坂君に誘われ、前に来た喫茶店で作戦会議をしている所だ。
二人きりで話が出来るこの空間が私は好きだった。
「ところで立花の話は聞けそう?」
「あっ!!そっか、立花君の事もあったんだった……」
「立花の事が聞けないんじゃ仲良くなった意味が無いからね」
珈琲を飲みながら少し呆れ気味に言う向坂君。
仲良くなれた事に喜びすぎて肝心な事を忘れる所だった。
「でも向坂君、佐原君のあの感じじゃあ、ちょっと聞きづらいよ…」
「あんなに話してたのに?」
「だって佐原君凄い気分屋だよ?少し話しただけでもなんとなく分かるけど、かなり気難しいタイプだと思う」
ノートを取り出し、佐原君について書いた事を向坂君に教える。
「まず、自分と同じ意見じゃないと機嫌が悪くなる。かと言って、同じ意見にしすぎると今度は意思が無さすぎるって怒るタイプだよ」
「面倒な性格だな……そういう気難しいタイプには異性で釣ったりするのが一番楽なんだけど、それも厳しい?」
「わ、私にそういうのは期待しないでよ!そ、それに、佐原君恋愛とか興味ないだろうし……」
「なぜそう思う?好きな女の子が出来たらコロッと変わるかもしれないよ」
ジッと綺麗な瞳を私に向ける彼は純粋に疑問に思っているみたいだった。