腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
佐原君の機嫌をどう直したら良いか頭を働かさせ
る。
「さ、佐原君は!!か、観察眼に優れてるから、もっとどういう感じとか分かるんじゃないかな〜って思って!!」
「……ん?観察眼に優れてる?俺が?」
「そう!!この間話した時とかにも思ったけど、キャラの心情を読み解くのとか凄い得意じゃん??だから、多分普段からそういうの得意なんだなーって勝手に思ってまして…!!」
我ながら無茶苦茶すぎる言い分だ。
こんな訳の分からないお世辞に流されるほど佐原君はアホじゃないだろうと思っていたけど、必死にニコニコしながら佐原君をお膳立てすると、佐原君は先程と同じように再びケロッとした顔に戻った。
「ふぅん〜〜、観察眼に優れてるか〜。京治の事は興味ねーけど、そうだな……」
「うんうん!佐原君の意見を聞かせて!」
「……あ、そういや前に京治が言ってたな。"生徒会長より副会長の方が動きやすい"って。あいつ内申上げるために生徒会に入ったと思ってたけど、違うのかね?」
動きやすい?
明らかに意味深なニュアンスを含んだ言葉が頭の中でぐるぐると回る。
「……なにか生徒会に入ってやりたい事でもあったのかな?」
「さぁ?それは知らねー。でも、昔からあいつ目立ちたがり屋だったからな。仕切らなきゃ気が済まねータイプって言うの?小さい時から権力者気取りしてたよ」
「権力者気取り……」
立花京治の事がうっすらとだけど、分かってきた気がする。
向坂君の話を聞いた時にも考えていた事だけど、立花は傲慢で独善的な所がある人なのかもしれない。
まさに独裁者気質みたいだけど、佐原君がそういうタイプと仲が良いのはちょっと意外だ。
「なんか……佐原君とは全然違うタイプだね」
「そー、だからそんな仲良くないんだよ。向こうから話しかけて来るから応えてるだけだし」
「じゃあ小中高同じなのってたまたまだったんだ?」
「は??お前なんでそれ知ってんの?」
(しまった!!!)
完全にやらかした。
小中高同じって事実を知ってるのは、私が向坂君から教えて貰ったからであって、本当ならそんな事知る由もない。
向坂君がなんで知ってるのかも分からないから、下手な事は言えない。
間違っても「向坂君から聞いた」なんて言った日には即別れを切り出されそうだ。