腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「なんかおかしいと思ってたんだよなぁ。いきなり京治のこと聞いてきたり、俺と京治が接点あるのも知ってたり……」



疑いの目をこちらに向ける佐原君に冷や汗がダラダラと流れる。

なんて言えば疑われずに乗り切れるだろうか?


そう考えている時に、ふと向坂君の言葉を思い出す。


『んー…俺の予想だけど、佐原は裏がなくて素直で馬鹿な子が好きだと思うんだよね』


そうだ。
佐原君は素直で馬鹿な子が好きなんだ。

私は佐原君の方に向き直ると勢いよく頭を下げた。



「……ごめん!!!」


「あ?なにが?」


「じ、実は……佐原君と会話したいが為に、なにか共通の話題とか無いかな〜って思って、佐原君の周りの事を調べてたんだよね……そしたら、小中高と立花君と学校同じなんだって話を知って……だから、会話したくて立花君の話題出したんだ!!本当にすいません!!キモいかもしれないけど、絶対仲良くなりたいと思ってたから!!」



嘘は言っていない。

実際に仲良くなりたかったのは本当で、立花を知っている佐原君のことを調べていたのも事実だ。

多分、佐原君に嘘は隠し通せないから、都合が悪い所だけを変えて、そのまま伝えた方が信じてくれると思った。


私の勢いに押されたのか最初の方は驚いた顔をしていたけれど、徐々に微妙な表情になっていく。



「おまっ……超キモいな……」


「なんの否定もしません!キモいです!ごめん!」


「……まぁ、お前がキモいのは今に始まった事じゃないしな。俺の寛大な心に免じて許してやろう」



やれやれと言った様子で笑う佐原君を見るに、なんとか誤魔化せたようだった。
いや、誤魔化しきれてないけど、本質を知られないで済んだのは良かったと思う……



「じゃあ、なにか?生徒会とか本当はどうでも良かったわけ?」


「え、あ、いや、そんな事ないよ!佐原君との共通の話題として出したって言うのもあるけど、生徒会自体も結構興味あったんだ」


「ふぅん〜、なら生徒会に入りたいってこと?」


「え、ま、まぁ……」


「お前じゃ厳しいと思うけどなー。特別金持ちって訳でもないだろ?」


「え?お金持ちとか生徒会に関係ある?」



そう私が言うと、佐原君はニヤリと笑みを深めた。



「あるに決まってんだろ。生徒会は京治を中心としたゴリゴリの身内人事なんだから」


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