腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「これ、プリント……どこに置けば良いですか?ちょっとポストが見つからなくて」


『……手前に数字を入れる場所があるだろ?それがポストだよ、ちょっとは頭使えよ』


「……へ?」



なにこの生意気な話し方。

頭使えって初対面の人に言うセリフだろうか?
それに、数字を入力するタイプのポストなんて初めて見たし!!



『"26581"。これ入力したらさっさと入れて失せろ』


あまりの口の悪さに呆然としていると、彼は早口で捲し立てた後にプツリと通話を切った。

信じられない。コミュニケーション能力の欠片も無い人だ。
私でも、もう少し上手くコミュニケーションを取れると思うんだけれども。

グツグツと頭が沸騰するような感覚を覚えながらも、彼の住所の書いてあるプリントを取り出し、裏側にシャーペンを走らせる。


"大人しく学校来いバーカ!"


そう書き殴り、素早く数字を入力して勢い良くポストにファイルを投函した。

私の行動もかなり幼稚だと思うけど、ムカついてしまったんだから仕方ない。

どうせ次からはまた倉木さんに戻るんだ。
二度とここに来る事は無いと考えたら、別に不登校の生徒一人にどう思われようが知ったこっちゃない。


今日は厄日だと思いながら、隼瀬君の家を後にした。



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