腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
(な、何かまずかったかな?)



「え、だ、駄目だった……?」


「駄目じゃないけど、仲良くなれたらラッキーだったなーってぐらい?まぁ俺も雪平さんに何も言ってなかったからさ」



向坂君は目は伏せているものの、そこまで気にしてないのか優雅に珈琲を飲んでいる。

向坂君がこう言うってことは、隼瀬君は立花と何か関係があるのだろうか。



「もしかして、隼瀬君って立花君の知り合いとか……?」


「そんな感じかな。親同士付き合いがあって、隼瀬と立花も中学が一緒だったらしいんだよね」



また親同士の付き合いだ。

なんでこうもうちの高校は金持ちが多いのだろう。
確かに偏差値は高めだけど、それ以外は別にどうってことは無いはずなんだけれど。



「だから雪平さんが仲良くなったら良いなって思って、倉木に雪平さんに頼むように伝えておいたんだよね」


「だから私に頼んできたのか……でも、向坂君。今回はなんで前みたいに私に仲良くなって欲しいってお願いしなかったの?」


「隼瀬と立花が喋ってる所なんて見たことなかったし、そもそも隼瀬自身を見たことすらないからね。親同士の絡みしか無いなら立花の情報も持ってるかすら怪しいしね」



佐原君との違いは"本人同士の絡みがあるかどうか"って所なのだろう。

しかし、向坂君はどうしてこうも身内しか知らなさそうな情報を仕入れてくるんだろう。

向坂君一人でも案外どうにかしてくれそうな感じさえある。



「向坂君のその情報網はどこから来るの…?」


「俺?知り合いに立花について詳しい奴がいてさ」


「この間は知り合いに居ないって言ってなかったっけ??」


「……そう言えばそんな事言ってたっけ?すっかり忘れてたな」



あっけらかんとして言い放った向坂君に思わずえっ!?と声が出る。

忘れてたなって、適当言ってたってこと!?

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