腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「谷口の奴気色悪いなぁ……雪平さんもそう思わない?」
呆然と二人の姿を見ていると、唐突に向坂君に後ろから声をかけられた。
「そりゃ思うけど……谷口も信じられないけど、向坂君も薄情すぎるよ。あんな楽しそうに他の人と話しちゃってさ」
「えぇ?そうかな。薄情と言うより、雪平さんが態度に出すぎだと思うんだけど。あんなに分かりやすかったら、谷口に怪しまれるかもしれないよ」
「あ、当たり前じゃん!そりゃ態度に出るでしょ!」
逆にこれから起こることを考えたらあんなポーカーフェイスで居られる方が不思議だ。
ワーワー喚く私を横目に、向坂君は鞄を持って私に「早く行くよー」と言って急かした。