腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
場所は、東校舎の三階の空き教室。

東校舎は自習室が一階にあるぐらいで、後は行事の時ぐらいしか行くことがない。

つまり、わざわざ人気のない所を谷口は選んでいるのだろう。



「淫行教師の名に恥じない場所だな」



目的の場所に着き教室の外から様子を伺っていると、向坂君はどうでも良さそうな声色でぼそりと呟いた。



「……谷口先生、本気で倉木さんの事を……」


「あぁ。ま、こんだけ清々しい程のクズなら罪悪感なく写真も撮れるんじゃない?」


「写真は良いとしても……倉木さんが……」



教室の外から成り行きを眺めていると、谷口は倉木さんにゆっくりと近付き、ガバッと倉木さんに
抱きついた。




「……倉木……まさか、君が僕を求めてくれるなんて…」


「……っ、た、谷口、先生……」



倉木さんは戸惑いながらも、谷口の背中に腕を回した。



「撮った?写真」


「へ!?と、撮ってないよ……」


「なら、これから起こることは全て撮っておいてね。肝心な所だから」



そう言って、向坂君は笑みを深くすると再び教室の方に向き直った。

私もカメラを構えながら再び教室の方に向き直る。


谷口は倉木さんのブレザーのボタンを外し、肩口に顔を埋めている。

気持ち悪いにも程があるし、今すぐにでも突入した方が良いんじゃないかとも思うが、向坂君の指示に従いカメラでパシャリとそのシーンを撮影する。

そして、谷口が倉木さんの顎を掴むと無理矢理口に引き寄せ始めた。


(こ、これ、本当に不味いんじゃ……!)



そう思いながらも、私はカメラのボタンを反射的に押していた。

カシャリ、と再び小さく鳴った音を確認すると、向坂君はいきなり教室のドアをガラッと勢いよく開いた。

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