腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「雪平もなぜここに……!」


「あ……っ、えっと、谷口先生……これは……」


「谷口先生と倉木さんが東校舎の方に向かうのが見えたんで、俺達で後を付けてたんです。まさか空き教室でこんな事してるとは思いませんでしたが…」



そう言って、向坂君は軽蔑した顔を谷口に作って見せる。

全て知ってる私からしたら白々しいと感じるけれど、谷口に取ったらこんな現場を見られてた訳だから死活問題だろう。



「で、でも!倉木が!!倉木が誘って来たんだ!!」


「合意の上なら、なんで倉木さんは俺に泣きついてきたんですか?それに……他の人がこの写真を見ても、谷口先生の味方になってくれますかね?」



そう言って私の持っているカメラを取ると、谷口に撮影した画像を見せつけた。

その写真は、谷口が嫌がる倉木さんに無理矢理迫っているような場面で、谷口もその写真を見て言葉を失っていたようだった。



「そんな……それを使って、僕を陥れる気なのか…?」


「とんでもない。谷口先生、俺は先生に辞めて欲しいだなんて、微塵も思ってませんよ」



向坂君はニコリと人の良さそうな笑みを浮かべると、谷口にジリジリと近付いていった。


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