腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
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"なんだか気を悪くさせてしまいましたか?ごめんなさい。でも、私はめげません。
それにしても、友達を作るのは難しいですね。隼瀬くんは、どうやったら私に友達が出来ると思いますか?アドバイスあったら教えてください"


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学校のプリントを届けに隼瀬君の家に来ると、メイドがいつものようにノートを渡してきた。

向坂君のアドバイスを元に書いてみたけど、返事は返ってきているだろうか。

ペラペラとノートをめくってみる。
前回の交換日記の所は相変わらず空白になっていたが、私が新たに書いた日記の横に隼瀬君の文章が書かれていた。


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"気を悪くしてない。ただ、書く気分じゃなかっただけだ。
あと、友達を作る方法を俺に聞くな。友達なんて居ても邪魔なだけだからな。

俺はお前がそこまでして俺と友達になりたい理由が分からない。
学校の奴に何か言われて引っ張り出そうとしているなら、もう俺のことは放っておいてくれ。"


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「うーん……まだ壁を作ってるなぁ……」



家に帰って改めてノートを読み返してみる。


それでも、ちゃんと返事を書いてくれた所を見るに、私とのやり取りが嫌になった訳じゃないんだろう。

思春期の息子を持った母親はきっとこんな気持ちで子供に接しているんだろうなぁと思いを巡らせる。


でも、実際なんで友達になりたいかと言われるとこっちもなんて答えたらいいのか分からない。

馬鹿正直に立花京治について詳しく聞きたいだけ、だなんて言えないし、どう言った理由を付けるべきか。

うーん、と考えながらもノートにペンを走らせてみる。


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