腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
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"学校からはプリントを届けてきてとしか言われてないから、私が自主的に交換日記したいと思ってるだけだよ。
友達になりたい理由についてなんだけど、正直特にないです。最初に話した時に話しやすいなって思って興味が出ただけです。
隼瀬くんは友達が邪魔と言ってるけど、なにか過去に嫌な事があったのかな?私も人間関係で悩みがちなので良かったら語り合いませんか。お返事待ってます。"


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書いた文章を読み返す。

我ながらかなり直球の文章だと思う。

佐原君の時にも使った、"正直戦法"でいってみたけど、効果があるかは返事が来ないと分からない。



またいつものように隼瀬君の家に行って、ポストの中にノートとプリントを入れる。

こんなやり取りを2週間程続けているんだから、そろそろ友情が芽生えてきてもおかしくないと思うんだけどなぁ。




「…………ん?」


バッと勢いよく後ろを振り返る。

振り返った先には当然のように何もいない。


「今、視線を感じたような気がしたんだけど……」


誰かに背中を穴が空くほど見られてるような、そんな気がしたんだけど。

まぁ気のせいか、と思い隼瀬君の家から踵を返した。


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