腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「最近、向坂と倉木よく喋ってるよなー」


「うっ……ま、まぁ……倉木さんは学級委員だし…」



佐原君と一緒に、向坂君と倉木さんが笑顔で話している所を見つめる。
立花の為とは言え、やっぱり好きな人と他の女子が仲良く話している所を見るのは厳しいものがある。



「倉木と言えば、お前まだ隼瀬ん家にプリント届けてんの?」


「え?ま、まぁ。今では"文通"的なのもする仲になったしね」



この間"交換日記"と言って向坂君に軽く馬鹿にされた事を思い出し言い方を変えてみたが、全く効果が無かったらしい。

文通という単語を聞いた瞬間、佐原君はギャハハ!とゲラゲラ笑い始めた。


「おまっ、文通て!!明治時代のコミュニケーションしてんじゃねーか!!」


机をバンバンと叩きながら腹を抱えて笑う佐原君にイライラとストレスが募り始める。

そこまで笑うことか??
コミュ障なりに考えて大真面目にやってんだぞこっちは。


「はぁっ、はぁ……わ、笑いすぎて苦し……っ」


「えー……そこまでおかしいことかなぁ…コミュニケーションとしては素晴らしい物だと思うんだけど………」


「いや、古風すぎんだろ……え、じゃあなに?隼瀬のやつ、もしかしてちゃんと返事書いてんの?」


「勿論、文通友達だからね!」



そう私が自信持って答えると、再びゲラゲラと笑い始めた。
意外と笑い上戸なんだろうか。


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