腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「あの隼瀬が文通！？似合わねー！」


「……え？隼瀬君のこと知ってるの？？」


「んあ？そりゃ知ってんだろ、中学一緒だったんだから」



あ、そう言えば佐原君も立花と中学が一緒だったんだ。
そうなれば必然的に隼瀬君とも同じ中学と言うことになるけど、隼瀬君は中学の時は学校に来てたのかな？



「中学の時の隼瀬君って、どんな感じだった？」


「中学の時〜？クラス違ったからそんな覚えてねぇけど、なんて言うか、浮いてる奴だったよ」


「佐原君が浮いてるとか言うんだ」


「お前ぶっ飛ばされたいのか？」


「じょ、冗談ですって……」



一気に声のトーンが変わった佐原君に顔を引き攣らせ、ビビりながら宥める。

ちょっと冗談言っただけなのに怒りすぎなんだよなぁ、佐原君。


「ゴホン……えーっと、その…浮いてるって言うと、どんな感じに？」


「ああん？浮いてるっつったら浮いてるって感じだよ。浮世離れ？とも言うかね」


「浮世離れ？？？」



なんだか更に分からなくなってきた。



「俺だって仲良くなかったんだから詳しくは知らねーよ！まぁでも、無口でちょっと変わってるって噂はあったな」


「無口はまぁ、そうなんだろうけど……変わってるねぇ……」


今のところ変わってるって思う所は、友達は邪魔だって言ってる所ぐらいだろうか。
それ以外はただの人見知りで口が悪い坊ちゃんって感じだ。

頭の中で思考を巡らせていると、唐突に、あ、と佐原君が声を上げた。



「隼瀬のこと思い出してたけど、ちょっとだけあいつに似てるかもな」


「え？どいつ？」



「お前の大好きな向坂だよ。あいつにちょっと似てるかも」



佐原君がそう言い放ったタイミングで学校の予鈴が鳴り響いた。