腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「なんで気にしてるかって言うと、佐原は立花の幼なじみなんだよ。小中高って全て一緒の学校に進学してるし」
「そ、それは知らなかった……確かに、たまに立花君と佐原君が話してるのを見たけど…」
「だから佐原を気にしてたわけ。佐原に近づいて立花の事を聞けたらって思ってたけど、どうにも佐原とは馬が合わないみたいで…」
向坂君は珍しく苦虫を噛み潰したような顔をして、口を結んだ。
向坂君でも仲良くなれないとなると、やっぱり相当気難しい性格なんだろうなぁ佐原君。
「向坂君でも無理なら、佐原君からは情報を聞けそうにないね…」
「何言ってんの、雪平さんが佐原と仲良くすればいいだけじゃん」
「は!?!?」
向坂君は自分が言ってることを分かってるんだろうか。
私は誰がどう見ても普通で根暗で、地味なタイプなのに、佐原君と話が合うわけがない。
そもそもコミュ力が高い向坂君でも無理なら、私なんて到底仲良くなれる訳が無い。
「君の書いてあるノートによると、佐原は結構なアニメオタクなんだろ?もしかしたら佐原のいるコミュニティは、そういうアニメ好きが集まる所なのかもしれない」
「で、でも、私はそのアニメ全然見てないし…佐原君はゲームも好きみたいだけど……プレミアが付いてるゲームばっかやってるみたいだから、そんな高いゲームを買うお金もないし……」
「だからこそ、そこをつけば間違いなく佐原は食いつく。立花を追い詰める時の為にも、佐原とは交流しておいた方がいいからね」
向坂君は立花君を地獄に落とすために大真面目に考えているみたいだった。
最初は冗談かなんかだと思ってたけど、彼の言動を見るとどうやら本気みたいだ。