腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
ひたすら謝る私にようやく怒りが静まってきたのか、目の前の少年は頬杖をつきながら拗ねたように唇を尖らせた。



「最近のお前マジつまんねー!やれ隼瀬だやれ向坂だ、それ以外に話すことねーの?俺は恋愛脳の奴が一番キモいと思ってんだよ」


「は、はあ……隼瀬君は恋愛関係ないけど……」


「本当か?向坂に似てるって言ってから目の色変え始めたよな?お前」



これまた痛い所を突かれた。

はっきり言って、隼瀬君に明確に興味を持ち始めたのはその話を聞いてからだ。
別に隼瀬君とどうこうなろうとか、そういう事を考えてるわけじゃない。

ただ、向坂君と似てるって言うのが信じられないし、少し気に食わないなと思っていたのは事実だ。



「ほら黙ってんじゃねーか恋愛脳のバカ女」


「ばかっ……い、言い過ぎじゃんそれは!!」


「俺のどこが間違ったこと言ってんだ??あん?恋愛脳だし馬鹿だし女じゃねーか」


「語感がキツすぎるよ!大体、佐原君はなんでもかんでもハッキリ言い過ぎ!!ノンデリカシーだよ!!」


「お前に言われたかねーわ!!」



結局朝は有意義な事なんて何も話せないでぎゃあぎゃあ喧嘩して終わってしまった。

佐原君なら隼瀬君がどういう状況だったか知ってるかなぁと思ったけど、もう聞ける状況ではない。


(向坂君に一応話してみようか?)


立花に繋がるかどうかは分からないけど、情報を共有しておくのは良いことだろう。

< 76 / 164 >

この作品をシェア

pagetop