腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
いつもの喫茶店に着き、なんだか落ち着かない気持ちで周りをキョロキョロと見渡す。



「えへへ……二人で来るのも久しぶりだねぇ」



嬉しくて率直な気持ちを伝えると、向坂君はなぜか目を細めて皮肉気に薄く笑った。



「雪平さんは隼瀬との交換日記で忙しかったからね」


「忙しいと言えばそうなんだけど、交換日記やるのって結構楽しいんだよ!徐々に仲良くなれてるなぁって感じするし」


「そう。俺も交換日記しようかなぁ」


「え!?だ、誰と?というかなんで??」


「妬いてるから」



焼いてる?なにを?

頭にハテナマークを浮かべていると、向坂君は少し呆れたように私を見つめた。



「分かりやすく言おうか?雪平さんが随分と隼瀬にご執心だったから嫉妬してたんだ」


「え?わ、私に?」


「そう。俺のこと忘れてそうだなって思ってね」



嫉妬。
向坂君に世界一似合わない言葉だけど、本当に嫉妬なんてしてたんだろうか?

もし本当にしてたら、それはつまり私の事を本当の恋人と想ってくれてるって事だ。

そう考えたら、身体中が熱くなっていくのが分かった。


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