腹黒王子とめぐるの耽溺日誌

「えっ、えぇ!?さ、向坂君が嫉妬なんてそんな……!」


「俺が嫉妬するのがおかしい?」


「お、おかしくはない、けど!!わ、私なんかに嫉妬するのがって……」


「なんで?雪平さんは俺の恋人なんだから、嫉妬したっておかしくはないだろ?」



あぁ、今日はなんて幸せな日なんだろう。
彼は私が喜ぶ言葉を全て言ってくれる。

真っ赤になって慌てている私に気を良くしたのか、向坂君は先ほどとは打って変わってニコニコと笑っている。



「だから俺と交換日記する?雪平さん」


「し、したい!!とてもしたい!!!……けど……」


「けど?」


「わ、私は交換日記するより、毎日こうやって二人で話してる方が幸せかな……」



日記を書いている時間があるなら向坂君と直接会話をしていたい。
そっちの方がよっぽど有意義な時間を過ごせると思った。

私の言葉に向坂君は驚きもせず、目を閉じて美しく微笑しただけだ。



「そっか。それもそうだね」


「そうだよ!だから倉木さんはもう呼ばないでも良いよね……?」


「それは別問題かなー、谷口の話も聞かないといけないし」



向坂君は誤魔化すようにニコニコと笑っている。

以前の私なら嫉妬で怒り狂っていただろうが、今日の私はさっきのやり取りのおかげで幾分穏やかだ。

少々腑に落ちないけど、向坂君が私を恋人と想ってくれているなら多少の不満も我慢出来る。

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