腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
でも、何が彼をそこまでさせるんだろう。
立花君が裏で悪い事をしているからっていう正義感からくる行動だと言われても、ちょっと納得出来ないし。
そもそも、私のノートの写真を撮ってバラ撒くと脅す人間がそんな正義感を持ち合わせているとは考えられない。
「あの……」
「ん?なに?」
「向坂君は、どうしてそこまで立花君のことを…」
「さっき説明しただろ?立花は裏でやりたい放題やってるって…」
「それは聞いたけど、なんて言うか……向坂君はそんな理由で行動するタイプには思えないって言うか……」
「なら、どういうタイプに見える?」
いつものニコニコとした顔じゃない、まるで私を試してるような、そんな顔だった。
(どう答えるのが正解なんだろう……)
正直なにも分からないし、下手なことを言って期限を損ねても困る。
せっかく一応恋人関係になったのに、すぐに別れるなんて事になったら最悪だよ…
「…………わ、分からないよ……向坂君は本当に不思議だから……」
自分で言ってて随分曖昧な物言いだなぁと思う。
ただ、向坂君の期待通りの回答だったみたいで、私の言葉を聞くと満足そうに微笑んだ。
「ふふ、正直で良いね。まぁ…もう少し仲良くなったら教えようかな」
「ほ、本当?えへへ、嬉しいなぁ……」
向坂君ともっと仲良くなれるかもしれないなんて夢のようだ。
今よりも更に仲良くなったら、もっと恋人のようなこと出来るのかなぁ。
そう考えていると、向坂君は「仲良くなりたいなら、まずは佐原を攻略して貰わないとね」と綺麗な笑顔で言ってのけた。
攻略って、そんなゲーム感覚で言うけど……そう簡単なことじゃないって言うのは私でもなんとなく分かる。
すっかりぬるくなったコーヒーを飲みながら、佐原君とどう仲良くするかを考えることにした。