腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「そう言えば、共有しておきたいことって?」
「あっ!忘れてた!!」
向坂君と話すのに夢中ですっかり忘れていた。
「実は隼瀬君の事なんだけど……」
隼瀬君は中学の時は普通に学校に登校していたこと。
ただ、そこで隼瀬君の周りの友人が転校したり自殺未遂を起こしたりと不幸な目にあい始めた。
それがきっかけで隼瀬君の精神状態が悪くなり、不登校になってしまった。
その事を向坂君に伝えると、向坂君は考えるように顎に手を当てた。
「なるほどね。つまり、それを仕向けたのは立花だって言いたのかな?」
「可能性としてはあるかなと……」
「でも親との繋がりがある隼瀬にそんな事するかなぁ。悪ふざけにしてはリスキーすぎると思うけど?」
「なにか…隼瀬君に、それ以上の恨みがあったとか……」
「恨みねぇ」
うーんと、机を指でトントンと叩きながら考え込む向坂君。
それでも何も思い浮かばなかったのか、お手上げだと言うように両手を上に上げた。
「現時点じゃなにも分からないな。そもそも、立花がしたって確証もないし」
「う〜ん、そうだよねぇ……ごめん、あんまり役立つ情報じゃなかったかも」
「いや、もしそれが立花の仕業だとしたら、重要な証拠になるからね。こっちの味方も作れるし」
「…………そろそろ教えてくれても良いんじゃない?立花に執着する理由を…」
ピタリ、と向坂君の動きが止まる。
ジロリと私を品定めするように見つめると、ふぅ、とゆっくりと息を吐いた。