腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「だから、俺はこの高校に入った時に誓ったんだ。"あいつの代わりに立花京治を地獄に落とす"って……俺があいつにしてやれる事は、それしかないから…………」
「…………向坂君」
「……ごめんね、雪平さん。俺は誰かの為に立花を地に下ろそうとしてる訳じゃないんだ。ただ、俺の親友を壊した立花に復讐したいだけなんだよ」
口を震わせ力無く笑う向坂君に、思わず「向坂君!」と声を荒らげる。
見てられなかった。
こんな想いを抱えていたなら、どうしてもっと早くに私にぶちまけてくれなかったんだろう。
「一人で抱えちゃ駄目だよ……!そういう憎しみとか、悲しみとか全部、全部一緒に私も背負ってみせるから……」
そう言って、向坂君の手をギュッと強く握りしめると、彼は安心したように微笑した。
「……ありがとう、雪平さん」
そして、ゆっくりと私の手を握り返してくれた。
立花、立花京治。
この話は、向坂君が私を信頼して話してくれたのだろう。
普段は弱みを見せない彼が、私にだけ見せてくれた。
なら、私はその気持ちに応えたい。
「立花を、一緒に引きずり降ろそう……あいつを地獄に落としてやるんだ」
そう固く決心し、彼の手を力強く握りしめた。