腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「お前……頭イカれてるのか……?」


「え!?なんでそうなるの!?」


「俺と絡むだけで不幸になるって何度言ったら分かるんだ。俺の妄言じゃない、事実として忠告してやってるのに」


「じゃあ隼瀬君は家に来て欲しくないってこと?私と喋りたくないの?」


「……そうじゃない、来たら大変なことになるかもしれないって言ってるんだ」


「違うって、隼瀬君の気持ちを聞いてるんだよ。隼瀬君が私と話したくないなら来ないし、もしそうならそう言って欲しいんだよ」


「……っ!来て欲しいよ!!でも、どうせ最終的に俺から離れるなら、これ以上関わりを持ちたくないんだ。関係が深くなればなるほど辛いだろう?」


「なんだ、隼瀬君も私と仲良くなりたいんじゃん。なら仲良くすればいいと思うんだ、私も隼瀬君と仲良くなりたいからさ」



なんで周りが不幸になるかはハッキリ分かってないけど、仲良くなりたいと思ってる人と仲良くなれないなんて可哀想だと思う。

少なくとも私は今の所不幸になってないし、彼と距離を縮めれるチャンスだ。


隼瀬君は私の言葉にどこか期待の籠った目でチラリと私を見据えた。




「…………物好きな奴……後悔しても遅いからな」


「大丈夫だって、なんとかなるよ」


「ならなかったらどうする?それでも俺と仲良くなりたいと思うのか?」



どうやら彼は相当な心配性らしい。
でも気持ちは分かる。人と深い関係になるには勇気が必要だから。


(私も向坂君が居なかったらこんなに積極的になれないだろうし……)


私には向坂君が居るという事だけでここまで積極的に話せている。
彼が居なかったら私は消極的で地味なままだっただろう。
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