腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「で、でも、本当に感じるんだってぇ……」


「なら、最近視線を向けられるようなことしてんじゃねーの?身に覚えあるんじゃねぇのか?」


「ぐぬぬ……無いことも……ない」


「やっぱりな。京治だとか隼瀬だとか向坂だとか……なにをそんな探っとんのじゃお前は!」



ビシッと指をさされ、とぼけたように口をとんがらせてみる。

マズイ、佐原君にバレている。
詳細までは知られてないだろうけど、私がなにか企んでいるということまでは予想していそうだ。



「べ、別に??それこそ気のせいじゃない?」


「向坂は知らねーけど、俺と京治と隼瀬は同じ中学だよな?なんか関係してんじゃねーのか??」


「そ、そそ、そんな事ある訳ないじゃんか!!たまたまだよ!」


「分かった!!隼瀬だな??隼瀬に近付きたくて、近辺を洗ってみてるんだろ!?」


(惜しい!そっちじゃない!)


結構いい線をいっているが、残念ながら最終目標は立花に近づくためなのでちょっと違う。

黙り込む私を見て勝手にそうだと確信した佐原君はうげーっと気分が悪そうに舌を出した。



「お前きもっ!じゃあなにか?俺に近付いたのもまさかそのため……」


「いやいやいや!そんな事あるわけないじゃん!?じゃあ、なにかい?隼瀬君に近づく為に、佐原君の趣味を研究して佐原君に話しかけたってこと??そこまでするほど私は暇じゃないって!」


「む……それもそうか」



実際はそこまでするほど暇だった訳だが、幸いにも佐原君は私の言ったことを信じてくれたようで顎に手を当てて納得していた。

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